アイドリングストップとは、ドライブ中の小時間の停車時にエンジンを停めることで、ガソリンや排気ガスを節約する機能です。
自動で機能が作動するクルマもあり、燃費の向上のほか、環境に配慮した機能として自動アイドリングストップ機能を採用した車両が増加していましたが、最近では半導体不足やデメリットの多さを理由に廃止傾向がみられています。
なぜ廃止傾向にあるのでしょうか?
2018年から燃費の計測・表記方法がJC08モードから、WLTCモードに変わりました。
WLTCモードとはWorldwide Harmonized Light Vehicles Test Cycleの略で、実際の走行環境に近い条件下で燃費測定が行われています。
JC08モードは日本独自の測定基準でしたが、WLTCモードは国際的な基準として2014年3月に国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラムで採択され、以来カタログにはWLTCモードとJC08モードの両方が記載されるようになりました。
WLTCモードではJC08モードと比べてアイドリングストップ時間の比率が少なく、効果が燃費性能に表れにくくなっています。
そのためアイドリングストップをアピールしにくい結果となり、メーカーにとってもメリットが薄くなっていることが理由にあります。
● 再始動時の発進が遅く、エンジン音が気になってしまう
● 作動時にエアコンなどの機能が切れる
● 曲がるときの減速で勝手に作動する
運転中にアイドリングストップ機能をオフにする人も多く、ユーザーの不評がメーカーに届いていることも原因の一つとなっています。
アイドリングストップはおよそ20年前に登場しました。
あの頃と比べて、近年では燃費性能が格段に向上しており、どの車両でも平均的に燃費が良くなっています。
メーカーにとっては燃費の良さをアピールするためにはアイドリングストップを搭載しないほうが良くなっています。
また、ハイブリッド車や電気自動車(EV車)が台頭してきた昨今ではアイドリングストップへの期待が薄くなっていることも理由になります。
燃費性能が向上するアイドリングストップは経済的に思えますが、高額な専用のバッテリーが必要なため、アイドリングストップ非搭載車よりも車体価格が数万円高くなります。
アイドリングストップ非搭載車のバッテリー交換費用はおよそ5,000円ほどに対し、搭載車のバッテリー交換費用は1~3万円。
エンジンの停止と始動の繰り返しによって負荷がかかり、バッテリー寿命も1年半~2年ほどと短い傾向にあるため、結果的にコストがかかってしまいます。
ガソリンの価格相場や走行距離、それぞれのクルマの使用環境次第ではコストがかからない場合もあります。
アイドリングストップ機能は燃費向上や環境配慮の策として知られていましたが、最近では電動化や基本的な燃費性能向上により搭載しない車両が増加傾向にあります。
むしろアイドリングストップ機能がないほうが快適性が上がり、バッテリー代削減ができてコストが下がるメリットを得られるという理解が深まっています。
アイドリングストップよりも効率的で高性能な機能が採用されていき、ドライバーにも環境にもやさしい技術開発が期待されています。
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