日本製のトラックやバスは、その優れた耐久性で世界中から高い評価を受けています。普通車では10万キロで寿命とされることが多い中、商用車は100万キロを超えても現役で活躍し続けます。特に海外では「働く車」として重宝され、日本で廃車となった車両が第二の人生を歩んでいるのです。
商用車の走行可能距離について詳しく調べてみると、一般的な乗用車とは大きく異なる結果が見えてきます。普通車では10万キロを超えると査定額がほぼゼロになりますが、トラックやバスの世界では全く異なる基準が存在しているのです。
全国で廃車取扱いを行うカーネクストの実績データを確認すると、最も走行距離の多い車両はハイエースの501,000キロでした。これは一般的な乗用車の5倍以上の距離に相当します。
興味深い世界記録として、アーヴ・ゴードン氏が1966年製ボルボP1800で達成した480万キロという記録があります。この距離は地球を約120周できる計算になり、2013年9月にギネス記録として認定されました。一台の車でこれほどの距離を走破できることに驚かされます。
大型トラックの場合はさらに驚異的な数字を示します。10トンを超える大型トラックでは100万キロを超える走行距離は珍しくありません。実際にカーネクストへの問い合わせでも、100万キロ以上走行したトラックからの廃車依頼を頻繁に受けています。
過去には200万キロ以上走行したトラックの所有者がメーカーから表彰されたケースもありました。10トンクラスの大型トラックにおいては、200万キロ以上走行している車両は決して珍しい存在ではないのです。
バスの耐久性についても注目すべき点があります。バスもトラックと同様に長距離運行を前提として設計されており、その耐久性は非常に高くなっています。近年の高速バス事故により利用を控える人もいますが、高齢者や自動車を運転しない方々にとっては重要な移動手段です。
特に海外においては、バスは移動手段の主役といえる存在です。日本国内では一般的に20年間で200万キロ程度が一つの目安とされています。
ただし使用用途によって廃車のタイミングは異なります。観光バスは年式を重視する傾向があり、100万キロ程度で廃車となるケースが多くあります。一方で高速バスは走行距離を基準とし、10年程度で廃車となる場合もあります。
日本製トラック・バスが海外で人気を集める背景には、これらの車両が持つ特別な価値があります。自動車販売事業者の間では「働く車」と呼ばれることも多く、海外バイヤーからの需要が非常に高い状況が続いています。
海外バイヤーが日本製の商用車を求める最大の理由は「収益を生み出す車」だからです。より分かりやすく表現すると「お金を稼げる車」という位置づけになります。生計を立てるための手段として車両を求める人々にとって、信頼性の高い日本製商用車は非常に魅力的な選択肢なのです。
日本の中古バスや中古トラックは、アジア諸国を中心としてアフリカなどの発展途上国への輸出が活発に行われています。海外旅行の際に日本語の看板や文字が残ったままのバスやトラックを目にした経験がある方も多いでしょう。
これらの車両は現地で重要な役割を担っています。トラックは物流を支える働く車として、バスは人々の移動手段として、それぞれ地域経済の発展に貢献しているのです。
ここで興味深い疑問が生まれます。日本製商用車が海外で人気を集める一方で、海外製のトラックやバスが日本ではほとんど見かけないのはなぜでしょうか。
世界的に知名度の高いトラックメーカーとしてメルセデス・ベンツが挙げられます。日本ではいすゞが有名ですが、世界的な知名度という点では劣る部分があります。しかしメルセデス・ベンツのトラックが日本で普及していない理由は知名度以外にあります。
海外製トラックにはメルセデス・ベンツやボルボなど優秀なメーカーが存在し、価格面でも日本製と大きな差があるわけではありません。問題となるのは導入後のサポート体制です。
消耗部品の調達やメンテナンス体制に対する不安が根強く残っています。故障した際の修理対応が困難であることが、日本市場への普及を阻害する主要因となっているのです。
前述の通りトラックやバスは「働く車」として位置づけられており、この点は日本も海外も変わりません。車両が故障して動かなくなることは直接的な収益損失につながります。そのためリスクを避けて、信頼性とサポート体制の整った日本製を選択する事業者が多いのが現状です。
日本製のトラックやバスは100万キロを超える走行でも優れた性能を維持し、海外で第二の人生を送っています。これらの商用車が「働く車」として高く評価される理由は、その卓越した耐久性と信頼性にあります。海外では重要な移動手段や収益源として活用され、地域経済の発展に大きく貢献しているのです。
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